K-POP専用コンサートホール建設が急がれる理由

MBCラジオに出演したミナ K-POPニュース
ミナ

2018年11月30日付週刊朝鮮掲載のK-POP関連ニュース翻訳

K-POP専用コンサートホールを建設しなければならない理由

週刊朝鮮 2018年11月30日

11月10日早朝、息子のシンガポール人の友人が韓国に来た。28歳の彼はシンガポールの南洋理工大学を卒業、現在香港の経営コンサルト会社に勤務している。彼はK-POPのコンサートを観るために金曜日勤務を終えるとすぐに飛行機に乗った。この熱狂的なK-POPファンのソウル滞在スケジュールを見て唖然とした。

10日早朝5時、仁川空港からタクシーに乗り6時にTWICEが出演する音楽番組MBC”SHOW 音楽中心”の収録会場一山MBCに到着、列に並び17番の入場抽選券を受け取った。しかし抽選に漏れ6時30分から始まる収録に入場出来ずホテルがある乙支路に移動し宿泊。

11日深夜2時、タクシーに乗り3時にTWICEが出演する音楽番組SBS”人気歌謡”の収録会場加陽洞に到着、列に並び6時まで待機したが入場出来なかった。ホテルに戻り休息を取り午後5時蚕室オリンピック公園体操競技場で開催のBLACKPINKのコンサートを観覧した。

BLACK PINKの京セラドームコンサートもBIGBANGファン頼み?
2018年12月24日海外ガールズグループ史上初となる京セラドーム大阪でコンサートを開催するBLACKPINK。そのBLACKPINKが韓国で初めて開催したコンサートレビューの翻訳など。BLACKPINKのコンサート BIGBANG V...

12日汝矣島金融街と聖水洞ソウルの森を見学、明洞で恋人にプレゼントするローションと菓子を購入、その夜飛行機に乗り帰国した。

このシンガポールの熱狂的K-POPファンはコンサートを観覧するために息子に依頼してコンサートチケットを手に入れなければならなかった。外国人であっても韓国語のチケット購入サイトにアクセスし公人認証書がなければチケットを購入できないためだ。さらに彼は香港で5万ウォンで売られている応援棒と応援グッズを購入してやって来た。

若い20代だからK-POPに熱狂するのだろうか。年齢だけが理由ではないだろう。アメリカの名門大学出身の60代の電子工学博士も熱狂的なK-POPファン。携帯電話、コンピューターで使用するJAVAプログラムを開発したジェームズ・ゴスリンが少女時代のファンクラブのTシャツを着て仁川空港に到着する少女時代を歓迎する姿が報道され、グローバルIT業界の話題になったことがある。

韓国のアイドルにどのような魅力があるから老若男女問わず魅了されるのか。

韓流3.0の限界

“韓流”という言葉は2002年ドラマ”冬のソナタ”が日本で爆発的な人気を呼び出来た造語。それから始まったドラマやK-POPなどのコンテンツを単に輸出したのが韓流1.0、外国人をスカウトし韓国人と共に活動する形態が韓流2.0。しかしその後韓流は中国政府の”限韓令”と日本の嫌韓ブーム等によって停滞した。

東南アジアで韓流人気が最も高いタイでも「ずさんなイベントが多く質が悪化した。韓流効果も10年以内に消えるだろう」という悲観的観測が流れた。

この難局を突破しようとするのが韓流3.0。2017年下半期から本格化した韓流3.0は現地法人などと協力してコンテンツの製作流通、収益の共有化などコンテンツ輸出ではなく現地化を試みるビジネスモデル。しかしこの韓流ビジネスモデルには限界があるという指摘が多い。まず経済的利益が大手芸能事務所に集中している点。政府の支援なしで利益を生み出した企業の成果は評価しなければならないが、他の産業とのシナジー効果が弱く「今の韓流ビジネス戦略は主にインバウンドではないアウトバウンド方式のため内需経済活性化につながらない。」という指摘も多い。

ならば先進国はどうだろうか。韓国より音楽ビジネスが発展したポップミュージックの故郷イギリスの事例を見てみよう。”グラストンベリー・フェスティバル”はイギリス文化を象徴する世界最大の野外ロックフェスティバル。グラストンベリーはイングランド南西部サマセットに位置する人口9,000人の小さな町だが、5日間のフェスティバル期間は全世界から人々が押し寄せる。2017年はグラストンベリーの人口の28倍に及ぶ観光客が訪れ入場料収入だけで864億ウォンに達した。

グラストンベリー フェスティバル

グラストンベリー・フェスティバル

グラストンベリー・フェスティバルはマイケル・イービスという農場主が1970年6月イギリスの伝説的ロックバンド レッドツェッペリンの野外コンサートを観覧、インスピレーションを得てその年の9月自分の農場でコンサートを開催したことから始まった。

フェスティバルのスタッフはボランティアで収益の大半を寄付する。フェスティバルはダンス、演劇、サーカス、コメディショーなど多様な公演芸術イベントとして拡大、1990年から”グラストンベリー現代公演芸術フェスティバル”に名称を変えた。ひとりの農場主のアイデアから始まった野外コンサートが莫大な経済的効果を生み出す超大型イベントに成長したのだ。

日本と香港は屋内コンサートホールを中心に公演産業を育成した。香港では韓国企業CJ ENM主催の”Mnet Asian Music Awards”が毎年開催される。アジア最高の音楽祭としてアジア圏だけでなく全世界に生放送される最高の番組で、2012年から香港で開催するこの音楽祭の会場アジア・ワールド・エキスポアリーナは1万6,000席規模の大型ホール。

香港にはアジア・ワールド・エキスポアリーナ以外にも1万2,000人収容可能な香港コロシアムがある。それでも香港のイベント企画会社は公演会場が必要と主張し「3万5,000万席規模のホールを建設すれば52憶ドル相当の収益を得られる」と具体的な数字を提示した。

香港の天文学的公演会場投資

香港の公演産業は現在造成中の西九海濱長廊が完成すれば一段階ランクアップする。1998年からビクトリア湾を見下ろす干拓地に全73万㎡規模で造成中の西九海濱長廊には1万5,000席の大型ホール、250席~2200席のホール14か所、博物館、野外ホールの全17の芸術文化施設が入る。

西九海濱長廊

西九海濱長廊

工事は2008年から始まり2015年に第一段階が完了、第二段階工事は2031年竣工予定で2兆4,000億ウォンを投入する超大型事業だ。香港特別行政区政府は東アジア最大の複合文化施設になる西九海濱長廊造成事業が完了すると年間450万名の外国人観光客が訪れると予想する。5,000席以上のホールがひとつもない韓国としては驚異的な投資である。

日本にも横浜アリーナをはじめ、さいたまスーパーアリーナ、国立代々木競技場、大阪城ホール、マリンメッセ福岡、グリーンドーム前橋など収容人員6,000人~3万人の大型ホールが立ち並ぶ。

埼玉県にあるさいたまスーパーアリーナは12月開催のMnet Asian Music Awardsを誘致した。さいたまスーパーアリーナは埼玉県が2000年旧国鉄跡地を再開発し建設した。イベントなどの誘致実績も良好で「適切な投資だった」という評価を得た。横浜も都市活性化のために文化芸術施設を強化した。文化芸術施設の強化が市民生活の向上に寄与し観光とエンターテインメント産業を誘致できると判断、その結果横浜の文化施設は横浜アリーナをはじめとするホール、美術館など71か所に上る。

公演専門都市 横浜

日本には1,000~3,000人の音楽ファンを収容可能なライブハウスを運営する会社が十数社ある。日本を代表する音楽イベント専門会社ZeppはSONYの子会社で東京、大阪、札幌、福岡、シンガポールなどにライブハウスがあり音楽ライブ・イベント事業を展開する。

遊ぶことに関しては韓国人が日本人の遥かに先を行くのに、日本はどのようにして無数のライブハウスを作り公演産業を発展させたのか。日本は首都東京でホール建設を規制しなかったため可能だったと考えられる。韓国は人口集中を防止するため公演施設建設の規制が厳しい。

娯楽と観光を結合したのがエンターテインメントツアー、公演観光だ。公演観光は公演観覧だけでなくショッピング、宿泊、飲食、美容、文化財見学など他の観光商品と連携するという特性がある。ニューヨークに行きブロードウェイミュージカルを観覧する前後に観光もするという方式である。公演観光は外国人観光客を対象にするため少なくとも3か月程度の時間を経て商品化が実現する旅行商品。従って常設公演が前提でなければ公演観光をインバウンド観光商品に育てることは出来ない。

韓国の公演観光は2000年ナンタ専用館がオープンして始まり、2008年貞洞劇場が”美笑”を常設化しインバウンド観光商品になった。ナンタは2009年有料観客70万人のうち外国人が57万人を占め公演観光の可能性を示した。韓国文化観光研究院パク・ヨンジョン博士は「ナンタの成功は専用館で常設公演化したことで公演観光商品を安定的に供給したことにある」と分析した。

韓国の公演市場はインバウンド観光市場の成長率より高い増加率で成長している。K-POP公演を利用した公演観光を導入してから早10年になる。2006年ロッテ免税店が自社製品販売、韓流音楽公演、観光地訪問をパッケージ商品化し販売、外国人観光客を誘致したことから始まった。

その後地域観光及び製品販売の活性化、チャリティコンサート等の多様なイベントがK-POP公演と連携した。2016年中国のある会社が社員4,500名を仁川市月尾島で開催した”チキン&ビールパーティ”もK-POPスターの公演を利用したイベントだった。

しかし韓国は大型専門公演施設がなく、多目的競技場、体育館などの体育施設を活用してK-POPコンサートを開催する。そしてK-POP公演観光の限界を示した。蚕室オリンピックメイン競技場 (6万9,950席)、ワールドカップスタジアム (6万6,704席)、高尺スカイドーム (1万6,813席)、蚕室オリンピック体操競技場 (1万4,594席)等の体育施設は専門公演施設の音響設備には及ばない。

そして多目的競技場は公演用設備の設置するための時間が必要になる。映画”ボヘミアン・ラプソディ”でフレディ・マーキュリーが飢餓に苦しむエチオピア人のためにライブエイドコンサートを開催したウェンブリースタジアムは客席7万席。巨大スタジアムでコンサートを開催するためにはステージ、音響、照明などの設備を設置するのに約10日、撤去するのに約10日かかる。”サッカーを1試合、コンサートを1回やると1か月が終わる”という冗談があるほどだ。

また野外施設は天候、温度の影響を受けやすい。防弾少年団が来年2月シンガポールスタジアムでコンサートを開催する。これはシンガポールの2月は韓国の秋の気候に近く野外でも寒くないからである。

前述のMnet Asian Music Awardsは1999年韓国初のミュージックビデオ表彰式として出発した。2009年に現在の名称に改めソウルで開催したが、その後は海外に会場を移し2010年マカオ、2011年シンガポール、2012年~2016年香港、2017年日本、ベトナム、香港などで開催した。

2015MAMA パク・ジニョンとTWICE

2015MAMAでベストプロデューサー賞を受賞したパク・ジニョンと祝福に駆け付けたJYP関係者

なぜソウルでMnet Asian Music Awardsを開催出来なかったのか。一年を締めくくる音楽祭Mnet Asian Music Awardsは毎年12月に開催する。この時期は寒く屋内大型専門公演施設で開催する必要があるが韓国にはそれがなかった。

韓国でMnet Asian Music Awardsを開催できないため香港まで観に行く韓国人が多い。韓国の会社が主催し主に韓国の芸能人が出演するイベントを観に外国に出かけることがどれほどの経済的損失になるだろうか。

韓国は観光活性化のための戦略商品として公演観光を育成しなければならない。芸能人中心の大衆芸術だけでなく韓国の伝統芸術を活かした韓流を作る必要もある。公演観光は経済的負担を必要とする観光商品だがインバウンド観光商品の価値を高め、それが高品質化、高付加価値につながる。また公演観光は外国人観光客が韓国文化を体験する機会を提供し、国家ブランドを向上させる。

K-POP常設公演施設を!

現在韓国のインバウンド観光市場はショッピングと文化遺跡訪問がほとんど、公演観光は単発のイベントに止まっている。この点を考慮し公演空間を直接化させる公演観光クラスター造成が急がれる。

ここでK-POP公演とパンソリ、サーカス等の伝統芸術、現代芸術公演を常時公演すれば韓国の観光コンテンツを多様化することが可能だ。それには香港のような多様な規模の専用公演施設が必要で、その場所も重要だ。公演観光は都心地域を中心とするため公演施設を交通に便利な都心に配置することが最善である。しかし地価が高いソウルでは常設公演クラスターを作ることは容易ではない。公演施設を分散することも方法の一つではあるが、これも高い地価のために難しい。従って公演施設を直接化するためにはソウル都心観光が可能で仁川空港から遠くない場所が最適地である。

筆者は東豆川が有力な候補地の一つと考える。今まで安全保障都市の役割を果たしてきた東豆川は面積の42%が米軍基地。現在6か所の米軍基地中3か所が返還を終えたが大部分が山地で開発が難しい。また東豆川は1999年から毎年”東豆川ロックフェスティバル”を開催、現在”K-ROCK通り”を推進している。シン・ジュンヒョンが韓国初のロックバンドを結成した韓国ロック発祥の地が東豆川という因縁もある。

東豆川市は事業用地を長期間無償もしくは安い賃貸料で提供し、政府は施設を建設できるように認可する。大手芸能事務所などの民間資本は公演施設を集中して建設する。ホテル、ショッピングモールなどの付帯施設も併せ持てば、韓流と韓国文化を楽しめる世界的な文化芸術都市になり、東豆川と京畿北部地域は経済効果を享受できるだろう。

イギリスを訪れたビートルズファンはロンドンのアビーロード、EMIスタジオを”聖地巡礼”する。ビートルズの故郷リバプールはビートルズツアープログラムと観光バスを運行する。政府は世界的にヒットしている防弾少年団に勲章を授与するだけでなく常設公演施設を建設し多数の海外ファンと観光客を呼び込む必要がある。

韓国が黄金を石と錯覚して多くの黄金を捨てていることに気付くべきだ。

(翻訳終わり)

TWICE

TWICE

東豆川は38度に近接する町で北朝鮮の刈上げ野郎が悪戯すると外国人観光客は来なくなる。