2019年3月16日付週刊東亜掲載、TWICE同じJYPエンターテインメント所属のガールグループITZY関連ニュース翻訳。
上半期音楽界に突風を巻き起こしたITZY 現在のK-POPの流れとは違う
2019年3月26日 週刊東亜
3月15日KBSミュージックバンクの1位は既に活動を終了した5人組ガールグループITZYのものになった。
2月12日デビューしたITZYが主要音楽番組で1位を獲得するのはこれで9回目。デビュー11日目に1位を記録してから1位行進を続けた。
デビュー曲”달라 달라 (DALLA DALLA)”ミュージックビデオのYoutube再生回数は発売初日に1,000万回、1週間で5,000万回を突破した。
現在8,500万回を超えガールグループのデビュー曲としては異例の成果を上げた。
人々はそれぞれ今まで最も印象的だったガールグループのデビュー時代の既視感を感じると語る。昔とは異なり大手芸能事務所の新人でも人気を得るために相当な時間を要する時代。そのためITZYとJYPエンターテインメントの成果は驚きを持って受け止められた。
ガールクラッシュではないティーンクラッシュを標榜
ITZYが標榜するキーワードは”ティーンクラッシュ”。
非常に恣意的な単語だが、大まかに説明するとカリスマ性を持つ女性を示す”ガールクラッシュ”に10代の活力を加えた概念で、
「強烈なテーマを駆使するガールグループだが、軽い基調を備えている」という意味といえる。
ITZYが強烈なイメージのBLACKPINKと比較されたり、明るくキュートなイメージのTWICEと対照化される理由である。
“달라 달라 (DALLA DALLA)”の音楽とミュージックビデオはこのコンセプトに符合する。
軽快なハウスビートにやや重めのサウンドが結合して緊張感を与える。サビでは突然明るく親しみのあるメロディが飛び出し、童謡のように”난 달라 달라”(※私は違う違う)を強調する。
ミュージックビデオでは監視カメラがITZYに対する世間の注目を象徴すると同時に、ITZYがそれを拒否する可能性を示唆する。
背景の都市は夢が多く、恣意的な10代の視線を象徴するようにビビットな色感とノイズで歪む。IZTYは躍動感あるダンスとメンバーそれぞれが自信感ある微笑を見せる。
アイドルにとって曲とミュージックビデオの完成度が勝負の全てではない。
人々の視線を一気に奪うITZYは個性的で能力が高く見える。男性ファンからはもちろん女性ファンの目に特に魅力的に見えると評価されている。

ITZY
ステージの鋭い目線とカリスマ感あるパフォーマンスと、笑う時の子供のような表情に一層惹かれるファンもいる。
アイドル市場で男性ファンの存在が注目された時もあったが、ファンとしての忠誠度、積極的な消費力は女性ファンに及ばないという指摘が多い。
そのためガールグループも女性ファンをターゲットにする事例が増えているが、ITZYもそれに忠実である。
デビュー前、リュジンはJTBC”MIX NINE”、イェジはSBS”THE FAN”、チェリョンはSBS”K-POP STAR”とMnet”SIXTEEN”に出演経験がある。(※全てオーディション番組)
リュジンは”MIX NINE”で上位圏に入り注目を集め、チェリョンは2度のオーディション番組出演でJYPとの縁の深さを見せた。
しかしこの番組出演が、現在の芸能界で成功するための決定的な要因になるほど影響力は大きくはない。
チェリョンが出演したSIXTEENはJYPのガールグループTWICEのデビュープロジェクトだった。SIXTEENでも十分に魅力的だったが、ITZYでこれほどの破壊力を見せるとは誰も思わなかった。
SIXTEENでは理解できない理由で選抜メンバーの変動があったが、”原石”を組み合わせる事に関してJYPは何か秘密のノウハウを持っているという印象を与えた。
TWICEとは異なる方向性
TWICEは人々が納得しにくい部分が多かった。9名という多めの人数、高い外国人比率などは当時の市場トレンドとはかけ離れたものだった。デビュー曲”OOH-AHH하게 (like OOH-AHH)”も当時あまり好まれなかった早いテンポだった。
ガールグループのデビュー曲は爽快で明るい雰囲気を期待するものだが、”OOH-AHH하게 (like OOH-AHH)”の導入部のフルートの音が暗い印象を与え、ミュージックビデオにゾンビが登場したことも意外な選択だった。
しかし結果的にTWICEは9人の個性と魅力が完璧な調和を引き出し、人々は理由が分からないままTWICEに引き込まれた。「国家を歌っても1位を取る」と言われるほどのスターダムに駆け上がった。
一時、いわゆる3大芸能事務所の落ちこぼれと揶揄されたJYPは現在時価総額1兆ウォンに達するなど全盛期を謳歌している。しかしTWICEがなぜ成功したのかを正確に説明するには限界がある。TWICEは依然として”現象”として実在するだけである。
ITZYからTWICEのデビュー時を強く連想する事も無理ではない。ITZYは逆である。
ガールグループのメンバー数が増える傾向の中でITZYは5人で結成した。人々がTWICEの日本での成功と日本人メンバーとの関連性を語る中、ITZYを韓国人のみで結成した。
防弾少年団をはじめとするK-POPが世界観と叙事性を強調する中で”달라달라 (DALLA DALLA)”はストーリーテーリングに全く関心がないように映る。単にひとつの曲とイメージ中心のミュージックビデオに過ぎない。
曲は爽快なハウスビートにヒップホップの質感を入れ、低音を強調するベース音を加えた。これも韓国では非主流的なジャンルである。
しかしメロディアスなブリッジから演奏音が抜け、メンバーが”Keep your chin up”と声高に叫ぶ後半部のチャントはTWICEの”OOH-AHH하게 (like OOH-AHH)”を連想させる。
つまり市場の流れとは別系の主観や公式があり、それを適用した結果物のように見えるのである。
そのように見ると、歌詞やミュージックビデオのディテールも”OOH-AHH하게 (Like OOH-AHH)”に近いと感じさせる。
“달라달라 (DALLA DALLA)”は他人の視線を意に介さない自信感を表現した曲、このために他の女性を比較対象に設定する。
♪예쁘기만 하고 매력은 없는 애들과 난 달라 달라
(可愛いだけで魅力のない人と私は違う)
♪언니들이 말해
(姉さんたちが言う)
また10代にしては大人っぽい表現もある。
♪내가 너무 당돌하대 철들려면 멀었대
(私がとても大胆だって まだ子供だって)
1990年代のCMのような
♪네 기준에 날 맞추려 하지 마
(君の基準に私を合わせようとしないで)
これらはどうだろうか。
制服から着替える途中に監視カメラを発見し服を丸めて投げつける場面や、産業化時代の象徴のように並んだ自動車の屋根の上に立つ姿は成人男性の視線に露出することになる。結局10代のストーリーではあるが10代の理想の人物像とは食い違いが表れる。
これはガールグループの名門JYPが繰り返し使う手法でもある。
TWICE初期の歌詞には”여자가 쉽게 맘을 주면 안 돼”(※女の子が簡単に心を許してはだめ)など時代と距離感ある表現がさかんに登場し、Miss Aの”남자 없이 잘 살아”(※男無しでは生きていけない)も「男性の視線で女性を語る」という指摘があった。
これはJYPに限った話ではないだろう。
成人男性が企画する事が多いアイドル産業で10代や女性を表現するときには珍しくない事であり、根本的な問題のひとつでもある。
むしろJYPはこの問題に反論した。Miss Aは大勢の人々に勇気と自信を与える役割を果たし、TWICEの音楽から表れる姿勢もある時点から明確な変化を見せている。
一気に伝えるJYP型ポップソングの美徳
これにはJYPが持つ秘法の一つとして観察するだけの意味がある。
世界観設定とストーリー設定が流行する時期に、彼らが市場の流れに逆らうのは、JYP特有の性向が関係している。
アイドル市場は高度化複雑化しているがJYPの一貫した信念は”いいポップソングを作る事”、現在のK-POPを基準にすると保守的と言ってもいいだろう。
歴史的に見てもポップソングは発売直後に熱く、そして気軽に楽しむ対象である。その中には長く人々の心に残る曲もあるが、それは後になってからの話だ。
今すぐ人々に接近するためには障害物があってはならない。
JYPのポップソングの美徳は接した瞬間に一気に伝わる事にある。このために最も明快で強烈なイメージと耳から離れないメロディーを駆使する。
複雑なストーリーが鑑賞する者を長期間引き付けるとしても、それが鑑賞を遅延させるのであればJYPにとってそれは除外対象になる。
“달라달라 (DALLA DALLA)”が表現するITZY像は明快だ。
曲はやや複雑に感じるかもしれないが、”TWICEを成功させたJYPの新ガールグループ”というタイトルだけで人々の好奇心を刺激する。
そして緊張を維持しなければならない曲の導入部と展開部は、その好奇心を満たすためにメンバーの顔と動作を近くで見せる。

ITZY デビューショーケース
ITZYがどんなグループなのかを理解するまでに多くの時間は必要ない。
理解した事が鑑賞者の理想と合わない部分があったとしても問題ではない。
なぜなら、JYPが持つポップソングのもう一つの魔法があるからだ。あるコンテンツに気に入らない要素があったとしても鑑賞者はそれを消費する。例えばITZYの鋭く強い姿が気に入ったのであれば、どころどころに見せる曖昧さは不満要素になる。
それがITZYから感じる魅力を覆い隠すほど大きくなるまでは不満を甘受しながらITZYの事をを好きであり続ける。
ガールグループの名門JYPの秘法の集結体
政治的妥当性(political correctness)の重要性が高まり、小さな不満要素だけでコンテンツ全体を拒否する傾向があるのも事実。
しかし依然として人々は小さな不満を発見した時、それを訴え修正を要求するという方法で愛着を維持する。かつては我慢したり気が付かない振りをして好きな部分だけを選別するのが典型的な方法だった。
“달라달라 (DALLA DALLA)”が達成したのは何の矛盾も不満もない整合性ではなく、矛盾と不満を覆い隠す直感的で明快な魅力を提示した事である。
逆に考えれば、これは成人男性を排除しない戦略でもある。
“달라달라 (DALLA DALLA)”の歌詞には成人男性が疎外感を感じる部分は全くない。
自分が若かった時代、その時の夢、その時に見た女性アイドルなどを想起させ40代50代への招待メッセージになった。
“달라달라 (DALLA DALLA)”は世代を超えてアピールする。依然として我々はITZYとJYPが訴求する対象が誰なのか、どこに重点を置くのかを論ずる必要がある。
“달라달라 (DALLA DALLA)”は魅力的なコンテンツを作り出す秘法の集結だ。
才能と魅力を持つメンバーという原石を探し出し、最高のシナジー効果を生み出すように組み合わせた。これは外部からは分かりにくいノウハウである。
しかし曲とミュージックビデオは聞く人、評論家に示唆する、ビジュアル、キャラクター、パフォーマンスが重要なK-POP産業では直感的なポップソングの美徳を方法論として適用する作品である。
音楽を消費する方法を正確につかみ、それを基に人々との接点を増やす。これは過去20年間K-POPが培ってきた魔法でもある。また一貫性がなく不条理で複雑なK-POP特有の性向の理由でもある。
しかし誰かが慣習的に”皆がやるから”それをやって来て、JYPはそれを忘れなかった。ITZYと”달라달라 (DALLA DALLA)”が引き起こした旋風が我々に確認させた事実である。
ここまで来ればガールグループの名門のノウハウと呼んでもいいだろう。
(翻訳終わり)
この記事を書いたのはアイドルサイトの運営者で割と有名な奴なんだけど、彼が書く文章も一貫性がなく不条理で複雑なK-POP特有の性向があって何を言いたいのかが一気に伝わって来ない。
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