ハナ金融投資エンターテインメント部門担当(?)のイ・ギフン研究員の2018年2月14日付JYPエンタテインメント・エクイティリサーチを紹介しようと思って書き始めたら長文になってしまった。
日本で東方神起を超えたTWICE
今後1年でデビューする4つの新人グループ
TWICEは日本で2番目のシングルで東方神起の記録を上回り2019年内にドームツアーが可能な歴代級のファン数を確保していることを証明した。それだけでなく上半期Stray Kids(韓国、男性グループ)デビュー、下半期2つの中国男性グループ(Boy Story他)デビュー。さらにSIXTEEN2(仮称)を通じて2019年上半期女性グループのデビューが予想される。
計4つの新人グループがデビューを控え、成否が判明するまでに必要な時間は1年に過ぎない。アイドルは10年の利益サイクル(20歳デビュー、30歳軍入隊)があるためこの1年は絶対にJYPエンターテインメントへの投資を拡大する必要がある。
TWICE 日本シングル初動売上26万枚の意味
TWICEは2月7日日本で2番目のシングル「Candy Pop」を発売、初動売上枚数26万枚を記録した。これは東方神起の25万枚を上回り歴代K-POPアイドルグループ中2位の記録で、上位トップ5に2枚がランクインしている。

- 防弾少年団
- MIC DROP/DNA
- TWICE
- Candy Pop
- 東方神起
- Break Out!
- 東方神起
- Why?
- TWICE
- One More Time
防弾少年団と東方神起がデビュー5~8年目に達成したのとは異なりTWICEは2~3年目での記録で今後コンサートの動員を測る重要なファン数の指標になるため大きな意味がある。
一般的に約5年目まではファン数が増加するため今後日本での初動売上は40~50万枚まで上昇することが予想され、下半期のアリーナツアーは事実上確定した。
TWICEの日本コンサート予想観客動員数は2018年20万人、2019年30万人。最大50万人(SHINEE級)以上も可能だと判断している。
3月から本格的なモメンタム開始
2月は平昌冬季オリンピック期間で主要アーティストの活動空白期は避けられない。しかし
- GOT7
- 3月カムバック(新曲発売)
- 5月ワールドツアー
- TWICE
- 第2四半期カムバック
- アジアツアー
- Stray kids
- 上半期デビュー
が予想される。DAY6は3月3回目の韓国内コンサート(総6千人)と日本デビューが控えている。
2018年2月14日 Equity Research
(翻訳終わり)
韓国音楽市場の現在地
リンク先の記事はハナ投資金融のエクイティリポートを元に書かれた記事。元となったハナ投資金融の自体はそれほど面白くなかったが、韓国の音楽業界の現状が分かるのでもう少し詳しく紹介する。
ちなみにTWICEアンチが人気の絶対的な指標としている
- 歓声
- ファンカフェ会員数
- 検索ワード new
これらをハナ金融投資のイ・ギフン研究員は全く参考にしていない。少なくとも投資家を納得させられるデータではないのは間違いない。
CD売上1対音楽配信2
- 2011年~2015年韓国の音楽市場規模
- CD
- 8840万ドル
- 31.4%
- 音楽配信
- 1億7310万ドル
- 61.5%
- 公演
- 1910万ドル
- 6.7%
- 著作権
- 60万ドル
- 0.2%
- CD
- 合計 2億8130万ドル
これはエクイティレポートにはなかったので韓国コンテンツ振興院の2016音楽産業白書から持ってきた。「音楽市場規模」で検索すると出てくるデータと同じもの。
韓国の市場規模は日本の8分の1
一人当たりに換算すると4分の1程度まで差は縮まるが、韓国より音楽に4倍の金を使う人間が2倍存在するのが日本の音楽市場ということに変わりはない。
アイドルのCDしか売れない
- 韓国CD売上枚数(TOP100)の推移
- CD売上枚数
- 棒グラフ (左軸)
- 増減率
- 折れ線グラフ(右軸)
- 男性アイドル
- 濃緑
- 女性アイドル
- 薄緑
- CD売上枚数
このグラフには男性アイドル、女性アイドルとしか書かれていないが韓国でCDはアイドル以外はほとんど売れないのでこれが全CDの売上と考えていい。
CDの売上が急増しているのはいい事のように見えるが、売上げの増加はアイドルの特典商法によるもので非アイドル歌手CD売上は減少している。
芸能事務所は儲からないからアイドル以外は作らない、ロックシンガー希望者も弾き語り希望者もダンスを習ってダンスグループに入れられてしまう。
AKBと韓国のテレビ局Mnetが共同制作する「PRODUCE 48」の前身番組「プロデュース101 シーズン2」に、昔K-POP STARという一般人対象のオーディション番組でTOP10まで勝ち抜ちあがってSTAR SHIPエンターテインメントの練習生になったチョン・セジョンが参加していた。
ちなみに現役アイドルでこの手のオーディション番組に出てTOP10相当まで勝ち上がったのはWINNERのカン・スンユンと99DANのキム・セジョンの2人だけ、TWICEモモも予選落ちした。
K-POP STAR出演同時のチョン・セウンのコメント
「僕は機械のようなのじゃなくて自由で楽しい歌を歌いたい。」
そしてプロデュース101 最初のレベル分け審査

ダンスを踊りながら歌うチョン・セウン
審査するのはプロデュース101の司会進行を務めるBOA、韓国の大手芸能事務所SMエンターテインメント理事でもある。

(ダンス歌手をやる気はないけど)

(事務所にやらされてやっている感じがしませんか?)

「정답이에요」
(正解です)
BOAはチョン・セウンに質問する

「아이돌이 하고 싶여요? 가수가 하고 싶어요?」
(アイドルになりたいの?歌手になりたいの?)

ちなみにチョン・セウンは最終12位で惜しくも(?)Wanna Oneのメンバーにはなれなかった。
アイドルグループのメンバーを選抜する番組で、なぜBOAは「アイドルになりたいの?」という質問をしたのか? そしてなぜチョン・セウンは「芸能事務所の社長になりたい」と回答したのか? こうなったのは何故なのか?
×「K-POPは海外で人気」 〇「K-POPは日本で人気」
あの弾き語りの少年がダンス歌手をやらされる理由は簡単である。
- 2015年音楽産業国家別輸出額 (単位1000ドル)
- 日本
- 242,370
- 63.6%
- 中国
- 89,791
- 23.6%
- 東南アジア
- 40,557
- 10.6%
- ヨーロッパ
- 4.976
- 1.3%
- 北米
- 1,085
- 0.3%
- 日本
これは韓国コンテンツ振興院が発行した「2016音楽産業白書」の輸出額のグラフ。
誰がどう見ても日本の圧勝。2014年と2015年のデータなので中国の限韓令前であり、2016年以降中国向け輸出が落ち込むことは間違いない。
弾き語り少年は日本の韓国信者の趣向に合わせてギターを捨ててダンスを踊っているのである。
寡占化が進むK-POPアイドルグループ
勝ち組と負け組の格差が広がる
- 2017年K-POPアイドルグループCD売上占有率
- 防弾少年団
- 18%
- EXO
- 15%
- WANNA ONE
- 9%
- TWICE
- 8%
- GOT7
- 6%
- SEVENTEEN
- 5%
- NCT
- 3%
- その他
- 36%
- 防弾少年団
上位の4グループがCD売上の50%を占める。
グラフには載っていないが2018年末で活動を終える期間限定ユニットグループWanna Oneを除くと、
- BIG HITエンターテインメント
- 防弾少年団
- SMエンターテインメント
- EXO
- NCT
- JYPエンターテインメント
- TWICE
- GOT7
この3事務所の5グループでCD売上の50%を超える。CD売上の多いBIG HIT、SM、JYPの3事務所は2018年2月から韓国の移動通信大手のSKが設立した新音楽流通会社に参加した。
TWICEの流通会社も今までのGENIE MUSICからIRIVERに代わる。MP3プレーヤーを作っているあのIRIVERである。
韓国音楽市場の核心キーワード「アイドル」と「芸能事務所」を基に分析するとさらに偏りが顕著になる。調査期間全524週のうちアイドルが1位になった週は322週で61.5%を占めた。さらに韓国三大芸能事務所と呼ばれるSM・YG・JYP所属ミュージシャンだけで38.3%(201週)に達した。ミミョ氏は「韓国国内市場の特性上、”芸能事務所が作るアイドル音楽”という構図が昔から一般化している。このような偏食は残念だが、アイドル制作システムが海外でも通用する音楽産業の成長を引き出したという肯定的な側面も小さくない」と評した。
問題は「少数による市場寡占」だ。このような傾向はますます深刻になりつつある。韓国コンテンツ振興院が昨年発表した「音楽白書2016」によると、ガオンチャート100位圏内に1曲でも入れたことがある事務所・制作社は2011年は241社だった。しかし2015年は195社、2016年は145社に激減した。音楽制作関連業者が1085社あることを考えると13.5%にしかならない。大衆音楽評論家ソジョンミンカプ氏は「音源中心の市場に再編成され多様な音楽に触れる機会が飛躍的に増えた。しかし音源サイトと大手事務所に影響力が集中し、大衆の選択は狭まり嗜好の画一化と言うジレンマに陥った」と語った。
男女格差も広がる
上のグラフでランクインしている女性グループはTWICEのみ。
TWICEは2017年4枚のアルバムを発売しているため他のグループに比べて有利だが、それでもこの程度しか売れない。CD市場は完全に男性アイドルグループが支配している。
TWICE以外の女性アイドルは売れない
CD市場では存在感の薄いK-POP女性グループ、その女性グループ間でも格差は激しい。
- 女性アイドルCD売上ランキング
- TWICE
- テヨン (少女時代)
- Red Velvet
- Gfriend
- 少女時代
女性限定ならTWICEが絶対王者。これに海外(というより日本)の売上を加えると格差はますます広がる。
「1タイトル当たりの枚数に換算したらテヨンがTWICEを上回るのではないか」と思ったTWICEアンチは頭を冷やしてよく考えてみるべき、TWICEだけがアルバムを複数発売するわけではない。
- 2017年K-POPガールズグループCD売上ランキング
- 12位 TWICE「Twicetagram」
- 320,389枚
- 14位 TWICE「SIGNAL」
- 285,294枚
- 15位 TWICE「TWICEcoaster : LANE 2」
- 277,716枚
- 18位 少女時代 「Holiday Night」
- 167,638枚
- 19位 TWICE「Merry & Happy」
- 165,347枚
- 22位 テヨン 「My Voice」
- 141,200枚
- 36位 Red Velvet「Perfect Velvet」
- 90,456枚
- 39位 Red Velvet「Rookie」
- 87,091枚
- 44位 Red Velvet「The Red Summer」
- 78,846枚
- 48位 GFRIEND「The Awakening」
- 75,363枚
- 52位 テヨン 「This Christmas Winter is Coming」
- 69,099枚
- 58位 GFRIEND「Parallel」
- 62,781枚
- 65位 Mamamoo「Purple」
- 55,589枚
- 66位 Apink「Pink UP」
- 53,675枚
- 69位 TWICE「PAGE TWO」
- 49,748枚
- 70位 Weki Meki「WEME」
- 49,476枚
- 77位 Lovelyz「R U Ready?」
- 44,874枚
- 78位 Jessica「My Decade」
- 44,778枚
- 80位 Lovelyz「Fall in LOVELYZ」
- 43,687枚
- 81位 PRISTIN「HI! PRISTIN」
- 43,300枚
- 84位 TWICE「TWICEcoaster : LANE 1」
- 42,632枚
- 90位 宇宙少女「HAPPY MOMENT」
- 38,368枚
- 93位 宇宙少女「From.宇宙少女」
- 36,441枚
- 94位 AOA「ANGEL`S KNOCK」
- 35,013枚
- 97位 ソヒョン「Don’t Say No」
- 33,369枚
- 12位 TWICE「Twicetagram」
このランキングは2017年CD売上ランキングから女性アイドルグループを抜粋したもの。1タイトル当たりの売上を見てもTWICEの圧倒的な強さが際立つだけである。ただし女性グループの中では圧倒的に強いTWICEでも全体のランキングは12位に過ぎない。
- 2015年以降デビューのKPOPアイドルCD売上順位
- WANNA ONE
- TWICE
- SEVENTEEN
- NCT
- MONSTA-X
- GFRIEND
- JBJ
- DAY6
- IKON
- SF9
ここでも男性グループ8対女性グループ2。
仮にTWICEがデビューしなかったとしてもTWICEのボジションにつける女性グループが存在しない。TWICEはK-POP女性アイドルグループとしては極めて特異な売れ方をしていることが分かるだろう。
日本はK-POPアイドルグループの墓場
辛うじて9位にランクインしているのが2016年日本レコード大賞最優秀新人賞を受賞したIKON。日本のK-POPブーム以降、日本での活動を重視して韓国での活動を疎かにするグループが続出、特に韓国でしっかりと人気の基盤を固めないまま日本に進出グループは人気が停滞・下降する、IKONは典型的な例。
実はTWICEも日本デビュー発表以降、「CHEER UP」「TT」時のような圧倒的な強さはない。韓国のファンからすれば「日本に行って韓国を疎かにしている」と感じるのかもしれない。
アイドルが弱い音楽配信市場
韓国の音楽市場の60%を占める音楽配信市場では、CD市場での圧倒的な強さが嘘のようにアイドルが目立たなくなる。
- 2017念ガオンチャート音楽配信ランキング
- 8位 TWICE「KNOCK KNOCK」
- 10位 WINNER「REALLY REALLY」
- 18位 BLACKPINK「마지막처럼」
- 13位 防弾少年団「봄날」
- 14位 EXO「Ko Ko Bop」
- 16位 G-Dragon「無題」
- 20位 Red Velvet「Red Flavor」
- 28位 Red Velvet「Rookie」
- 30位 TWICE「SIGNAL」
- 33位 BLACKPINK「불장난」
- 35位 BIGBANG「에라 모르겠다」
- 40位 TWICE「TT」
- 41位 WANNA ONE「Energetic」
- 42位 Highlight「얼굴 찌푸리지 말아요」
- 43位 テヨン「Fine」
- 44位 Mamamoo「Yes I am」
- 45位 Mamamoo「Decalcomanie」
- 48位 Block B「YESTERDAY」
- 55位 ZICO「Artist」
- 59位 SECHSKIES「특별해」
- 61位 Unnies「맞지?」
- 71位 I.O.I「소나기」
- 73位 防弾少年団「피 땀 눈물」
- 74位 チョンハ「Why Don’t You Know」
- 81位 PRODUCE 101「NEVER」
- 83位 WANNA ONE「Beautiful」
- 86位 BTOB「그리워하다」
- 87位 Apink「FIVE」
- 89位 TWICE「LIKEY」
- 91位 TWICE「CHEER UP」
- 94位 ZICO「She`s a Baby」
- 99位 BTOB「MOVIE」
- 100位 SISTAR「LONELY」
アイドル系は約30曲、残りは非アイドル。当たり前の話だが、K-POPはアイドルだけではない。
本当に人気のあるK-POPグループ
同じグループが複数(ソロ含む)ランクインしているのでまとめて、解散したグループを除くと
- 女性アイドルグループ
- TWICE
- BLACKPINK
- RED VELVET
- MAMAMOO
- APINK
- テヨン(少女時代)
- 男性アイドルグループ
- 防弾少年団
- BIGBANG
- EXO
- WANNA ONE
- WINNER
- BLOCK B
- Highlight
- BTOB
- SECHSKIES
ここに名前が挙がっているグループが、アイドルだけではない韓国全体で人気があるといえるグループといえる。
ネット上にK-POP人気グループランキングが溢れているが、ほぼ全てが根拠のないいい加減なランキングである。
日本に来るK-POPアイドルグループの9割は地下アイドル
日本に進出しているK-POPアイドルグループについて「韓国で人気があるから日本に来た」と思っている人が非常に多いが、それは大きな誤解。
大半は韓国でも無名グループ、中には日本でしか活動しないグループもある。
まとめ
K-POPは初めてのTWICEファン向けに書き始めたら、途中からTWICEアンチ韓国信者批判になってしまった。もともとこのブログはファン向けというよりアンチの異常性を晒すために書き始めたから当然といえば当然ではあるが・・・。
K-POPアイドルCD売上1000万枚時代・・・CDの価値は暴落
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